87歳の香川恵子さんは要支援2。
原因不明の体調不良でメンタルが弱った時期があり、そのタイミングで介護ヘルパーと有償サービスの利用を始めた。
有償サービスに仕事のしばりはほとんどないが、ヘルパーの仕事と同じく贈り物を受け取ってはいけないし、飲食は禁止となっている。
だが、恵子さん宅ではケアマネから飲食の許可が出た。頭もはっきりしていてやさしい恵子さんは、きれいな食器やおしゃれな料理に誰かが驚くのが喜びだった。ヘルパーにとっては「おいしい仕事」だ。
これまで訪問先でおいしそうなお菓子や飲み物を出されても「ヘルパーはいただけないんですよ」と言わねばならなかった(ときどき少しだけ口にしていたけど)。それがここでは堂々といただくことができる。
台所の床にモップをかけていたときだった。シンク横にボウルに入ったイチゴが置かれていた。
のぞくと、ナメクジのかじりあとだらけだった。ああ、ベランダで育てていたイチゴがダメになったんだ。
自分が育てたものはダメになってもなかなか捨てられない。その気持ちはよくわかる。
でも、このままにしておけば、残ったナメクジを台所に放置することになる。
あとで袋に入れてきちんと捨てることを提案しなければならない。
そう思いながら、モップがけとトイレ掃除を終え、リビングに行くと、きれいなグラスに入ったジュースが置いてある。
「ご苦労さま。もうゆっくりして。イチゴジュースを作っておいたわ。
そう、うちのベランダの。不細工だけどね、味はおいしいわよ、どうぞ」
断れるわけがない。死ぬ気で飲んだ。
恵子さんは自称「良家の出身」で、実際上品だ。だけど、紙をめくるときや、お金を数えるとき、指をベロベロなめる。
衛生上どうかと思うが、プライド高い人に、そんな注意をできる気がしない。
調理でもやたら菜箸をなめる。煮物の火の通りを調べるのに、箸を刺すだけではなく、少しかじる。そして、それを鍋に戻す。
これまでも、別のお宅で、「私が作ったの。味きいてみる?」と言われたことは何度もある。
いつ作ったのか、正しい保存方法だったのか、すごく気になるところだけど、「ヘルパーは飲食禁止」というルールがあったので、きちんと断ってきた。
「本当は食べたいんですけど、ヘルパーはいただけないんです」そう言えば、悲しい顔はするが、たいてい納得してくれる。
なのに、ここではそれができない。
「佐東さん、今日はね、ケーキがあるの。ほら、昨日、息子と美術館に行ったでしょ。
美術館のカフェに、今回の美術展にあわせたケーキがあったの。
カフェで食べたらおいしくて、佐東さんにも買ってきたのよ」
「利用者宅で飲食をしてはならない」ルールを破ってケーキを食べてしまった“介護ヘルパーの後悔”「これってヘルパーを守るためのルールだったんだ」
https://news.livedoor.com/article/detail/27188253/
引用元:https://hayabusa9.5ch.net/test/read.cgi/news/1726356744/
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Source: ニュー速